

最後の「お帰り!待ってた」(54-3)
病気になる前、父は自分にも人にも厳しかったようです。会社の方は口を揃えて、「ビシビシやられました」「よくケンカしました」とおっしゃいます。プライド高く、人並みでない負けず嫌いの父にとって、病気になってからの自分の状態は受け入れ難かったに違いありません。生きていることの方がよ...


最後の「お帰り!待ってた」(54-2)
初めて受診で私が父の病歴を伝え、今の状況を説明するのをS先生はだまって聞いておられました。そして、話し終えると、S先生は静かにおっしゃいました。ここが父の寿命なのだと…。私は今までと同じように治す気満々でしたので、驚いて言葉をなくし、混乱してただ涙が止まらなかった。ここを寿...


最後の「お帰り!待ってた」(54-1)
2020年東京オリンピック開催が決まったのが2013年の9月。あと7年、そこまでは父はいけるなと思っていたのです。それが3年後、みおくることになりました。 2015年の暮れ近く、父はすとんと物を食べなくなりました。その1年前くらいから、むせやすくなって、嚥下機能が下がってき...


台湾 (48-13)
数日前、Sさんの息子さんを通じて、1枚の写真が送られてきました。 Yさん、Sさん、そして父です。 Sさん、お写真をありがとうございました。 Yさんが上司らしいキリッとした表情で父の肩に手をかけています。 いい写真です。よく見つけて下さいました。...


台湾 (48-12)
Sさんのお孫さんが届けて下さった台湾一美味しいパイナップルケーキでお茶しました。甘さも控えめ、お土産物というよりお店自慢の焼き菓子という感じでした。 二人して、おいしくいただいたのに、しばらくして父はストンと物を食べなくなりました。何か力が抜けたようにストン!と食べなくなっ...


台湾 (48-11)
また父と私の日常が始まりました。台湾に行く準備の段階から、帰ってくるまで何のトラブルもなく、全て計画通り。ショートステイの利用が一晩だけでも、次の日迎えに行くと、文句を言いたそうに不機嫌な時もあるのに、今回は3日。それなのに、少しも不安な様子も見せず、とても穏やかで優しい父...


台湾 (48-10)
この台湾旅行のストーリーは帰国してからも続きました。 帰国した翌日、空っぽの冷蔵庫に食料を買い入れ、家の準備を整えて、父をショートステイ先に迎えに行きました。「お父さん、ありがと!Sさんにすごくよくしていただいたの。お父さんのおかげだね」父は機嫌よく待っていてくれました。こ...


台湾 (48-9)
3人でカフェでお茶しているうちに空港に向かう時間になりました。今度は本当にSさんとお別れしました。 SさんとY子さんが父をすごい!とほめてくださって、私のことも手放しでほめてくださって、たくさんお土産を持たせてくれて、この台湾旅行は私にとって大変なご褒美旅行になりました。S...


台湾 (48-8)
父へのメッセージの中でSさんは、ゆっくりゆっくりだけど、自分の足で階段を下りる姿や左手で書いた日記の文字に感動したと、「大したものです」ときっぱりした口ぶりでおっしゃった。それは、同情や社交辞令ではない、今の父を昔と同様、友として認めているとわかる言葉でした。...


台湾 (48-7)
翌日の朝、Sさんからホテルに電話がありました。 前の日、私がSさんに「父へのメッセージお願いできますか」と急に言ったものだから、Sさんは心の準備ができておらず、伝えたいことを伝えきれなかった、夜眠れなかった、とおっしゃるのです。まぁ!Sさん!と、もうびっくりです!!...